憩室出血について医師が詳しく解説
消化管の壁の一部が外側に突出し、部屋のような空間ができた状態を「憩室」と呼びます。
憩室の壁は薄くなっており、ときに出血を起こすことがあり、これを「憩室出血」と言います。憩室および憩室出血は、食道や胃、小腸、大腸のいずれにも起こり得るものですが、大腸での頻度がもっとも高く、それぞれ「大腸憩室症」「(大腸)憩室出血」と言います。大腸カメラ検査を行うと、約10%で憩室が発見されます。
炎症・出血を伴う場合には治療が必要になります。出血はときに大量となり、便器が真っ赤になるような血便を伴うこともあります。なお大腸憩室症のうち、約75%が右側結腸に生じます。
憩室出血の原因は?
大腸憩室症は、先天的に腸の壁が薄い部分に内圧が加わり、壁が外側へと飛び出て発症するものと考えられています。
そのため必然的に憩室の壁は薄く、さらなる内圧やちょっとした炎症をきっかけとして、憩室出血に至ります。
憩室出血は繰り返す?
一度形成された憩室は、自然に元に戻ることはありません。そのため、憩室出血は、治療をしても繰り返すことが多くなります。再発率は、約40%にものぼります。
特に、血液をサラサラにする薬を服用している方は、再発率が高くなると言われています。
憩室出血の症状チェック
- 突然の大量の血便
- 下腹部の痛み
- 吐き気・嘔吐
- 発熱
- 下痢
前触れなく、大量の出血(血便)が起こります。血液は真っ赤なこともありますが、赤黒いこともあります。 また、憩室での炎症によって、下腹部の痛み、吐き気・嘔吐、発熱、下痢などの症状を伴うこともあります。
憩室出血の検査と診断
問診のうえ、大腸カメラ検査を行い、診断します。腹部CT検査、出血シンチグラフィーなどの検査を行うこともあります。
ただ、時間とともに自然止血することも多く、出血部位を特定できるのは50%程度に留まります。実際に出血しているところを確認し、より正確な診断を行うためには、症状が現れてからできるだけ早く大腸カメラ検査を受けることが大切です。
憩室出血の治療
大腸カメラ検査を行い、憩室出血を発見次第、その場で内視鏡によってその場で止血処置を行います。
出血があまりにも多い場合、出血を繰り返している場合にはカテーテル治療や手術が必要になりますが、ほとんどは自然止血または内視鏡による止血処置で終えられます。
カテーテル治療や手術が必要になった場合には、速やかに提携する病院をご紹介いたします。