胃潰瘍について医師が詳しく解説
まず「潰瘍」とは、皮膚や粘膜が一部剥がれたり、えぐれたり(深く欠損)した状態を意味します。そしてこれが胃粘膜で生じたものが「胃潰瘍」です。 胃粘膜は本来、粘液によって胃酸や消化酵素から守られていますが、胃酸の分泌が増加したり、粘液が減少したりすることで、胃潰瘍を発症します(消化性胃潰瘍)。
また、胃がんによって潰瘍が形成されることもあります(がん性胃潰瘍)。
胃潰瘍の原因は?ストレス?
胃潰瘍の発症には、ピロリ菌感染やストレスが大きくかかわっています。以下のように、それ以外にもいくつかの原因が挙げられます。
ピロリ菌感染
胃潰瘍の最大の原因は、ピロリ菌感染と言われています。通常はまず慢性胃炎となり、その後胃潰瘍へと進展します。当院では、ピロリ菌検査、除菌治療にも対応しております。
ストレス
仕事、家庭などにおける人間関係、過労や睡眠不足など、さまざまな精神的・肉体的ストレスが自律神経を乱し、胃酸を過剰に分泌することで、胃潰瘍を引き起こします。
またストレスを感じやすい正確として、几帳面、真面目、完璧主義などが挙げられます。
消炎鎮痛薬の長期服用
痛み止めとして使用される消炎鎮痛剤を長期にわたって服用することで、胃腸の粘膜が荒れ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こすことがあります。
暴飲暴食・刺激物の摂り過ぎ
食べ過ぎや飲み過ぎ、香辛料、熱すぎる・冷たすぎる食べ物、カフェインの摂り過ぎ、喫煙は、胃炎や胃潰瘍の原因となります。
胃潰瘍の症状チェック
- 胃やみぞおちの痛み(特に空腹時)
- 胸やけ、胃もたれ
- げっぷ
- 吐き気、嘔吐
- 食欲不振
- 体重減少
- 口臭が強い
- 吐血、タール便
- 便潜血検査陽性
潰瘍から出血がある場合には、吐血やタール便、便潜血検査陽性なども見られます。
胃潰瘍の検査と診断
問診では、症状や食生活・生活習慣、服用中のお薬などについてお伺いします。そのうえで、バリウム検査、胃カメラ検査などを行います。
より正確な診断のためには、やはり胃カメラ検査が有効となります。カメラで直接食道や胃、十二指腸の粘膜を観察するため、他の疾患との正確な鑑別が可能です。
また、組織を採取して、ピロリ菌検査や病理検査を行うこともあります。
胃潰瘍の治療
胃潰瘍の治療では、薬物療法や生活習慣の改善などを行います。ピロリ菌検査で陽性の場合には、ピロリ菌の除菌治療も行います。 ごく稀に手術が必要になることがあり、その場合には提携する病院をご紹介いたします。
薬物療法
病態・症状に応じて、胃酸の分泌を抑える薬、吐き気を抑える薬、胸やけを抑える薬、腹痛を抑える薬などを使用します。
生活習慣の改善
食べ過ぎや飲み過ぎ、香辛料、熱すぎる・冷たすぎる食べ物、カフェインの摂り過ぎを避け、禁煙します。
また、ストレスを回避すること、溜め込まないこと、うまく解消することも大切です。
ピロリ菌陽性の場合【除菌治療】
ピロリ菌検査で陽性であった場合には、薬の内服による除菌治療を行います。
胃カメラ検査で胃潰瘍の診断を受けた場合には、ピロリ菌検査や除菌治療に保険が適用されます。
胃潰瘍になったときの食事
食べ物・飲み物について
香辛料、熱すぎる・冷たすぎるもの、アルコール、カフェイン飲料などの摂り過ぎを控えましょう。
潰瘍の治療では、たんぱく質の摂取が大切です。脂の少ない肉や魚、卵・豆腐を使った料理はしっかり食べます。
食べ方について
暴飲暴食は避け、よく噛んで、ゆっくり食べるようにしましょう。
また、毎日3食、できるだけ決まった時間帯に摂るようにします。
調理方法について
揚げたり炒めたりすると、どうしても油を多く使います。
茹でたり蒸したり、煮たりする調理方法がおすすめです。