ピロリ菌検査・除菌

ピロリ菌に感染するのはなぜ?

ピロリ菌とは

ピロリ菌とはピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に生息する細菌です。感染は珍しいものではなく、感染した時点では大きな問題は生じないものの、治療(除菌)をせずに放置していると、さまざまな疾患のリスク要因となります。

ピロリ菌の感染経路

ピロリ菌は、経口感染します。以前は井戸水や糞便などに汚染された食物が主要な感染源になっていましたが、上下水道の発達した現代では、親から子への経口感染が主となっています。具体的には、食べ物の口移し、同じ箸・スプーンの共用などが感染経路にあたると考えられます。
また、感染する年齢は免疫の未熟な5歳くらいまでであることが明らかになっており、それ以降で初感染することはほとんどありません。

ピロリ菌に感染している
可能性が高い人

上下水道の発達していない時代に幼少期を過ごした50歳以上の方は、ピロリ菌に感染している可能性が高いと言えます。同時に、その世代から食べ物の口移しなどが行われていた場合には、その子どもも感染が疑われます。
若い世代での感染率は低下しているものの、このように親から子へと、ピロリ菌が引き継がれてしまうこともあるのです。
ピロリ菌検査を一度も受けたことがない方は、検査を受けることをおすすめします。

ピロリ菌に感染しても
症状はない!?

ピロリ菌に感染しても症状はない!?ピロリ菌の感染自体は、症状を伴いません。
ただし、感染を放置して慢性胃炎や萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、あるいは萎縮性胃炎から胃がんへと進行した場合には、それぞれの疾患に応じた症状が出現します。
そのような場合には、以下のような症状が見られます。また、潰瘍に伴い出血がある場合には、吐血や下血(タール便)などの症状を併発したり、便潜血検査で陽性が出ることもあります。

  • 胃もたれ、胸やけ
  • 胃やみぞおちの痛み
  • 食欲不振
  • 吐血
  • 下血(タール便)
  • 貧血 など

ピロリ菌感染により
引き起こされる疾患

ピロリ菌に感染したまま放置していると、「慢性胃炎」になることがあります。慢性胃炎はその後、胃粘膜の萎縮や腸上皮化生(胃粘膜上皮がびらんと再生を繰り返し、腸管粘膜上皮の形態へと変化すること)を起こし、萎縮性胃炎へと進行します。そして萎縮性胃炎のうちの一部は、胃がんとなります。
また、胃・十二指腸潰瘍の発症や再発の大部分は、ピロリ菌感染が影響していることが分かっています。それ以外にも、突発性血小板減少性紫斑病、鉄欠乏性貧血、慢性じんましんといった疾患との関連が指摘されています。

当院で行う検査方法

ピロリ菌検査には、さまざまな方法があります。患者様のお身体の状態、それぞれの検査の特徴を考慮した上で、適切な検査を行います。
場合によっては、複数の検査を組み合わせることもあります。

迅速ウレアーゼ試験
(内視鏡)

内視鏡検査の際に胃粘膜から採取した組織を用いた検査です。
ピロリ菌は、尿素をアンモニアへと変える「ウレアーゼ」という酵素を出すことで、胃の中で生き続けることができます。この性質を利用し、組織に含まれるピロリ菌のウレアーゼ活性を検出することで判定します。
除菌前の診断には高い精度を誇りますが、除菌の成否の判定には向いていません。

鏡検法(内視鏡)

内視鏡検査の際に胃粘膜から採取した組織を用いた検査です。
組織を染色し、ピロリ菌そのものの有無を顕微鏡で観察します。
胃がんなどを疑った場合に行われることが多い検査です。

培養法(内視鏡)

内視鏡検査の際に胃粘膜から採取した組織を用いた検査です。
組織を培地に塗布し、ピロリ菌が増えやすい環境で5~7日培養します。適切な培養には、熟練の技術が求められるため、専用のセンターに検体を送り、調べてもらいます。

尿素呼気試験(呼気検査)

迅速ウレアーゼ試験と同様に、ピロリ菌のウレアーゼ活性を利用する検査です。
まず通常の呼気を採取し、ユービット錠(尿素の含まれる薬)を内服してピロリ菌との反応を待ってから再度呼気を採取します。そして2つの検体の二酸化炭素量の変化を調べ、ピロリ菌感染の有無を判定します。

血中抗ピロリ菌抗体測定
(採血)

血液を採取し、血中のピロリ菌に対する抗体の有無を調べ、判定します。
簡便な検査ではありますが、以前に感染した症例でも、一定期間は抗体が認識されるため、その時点でのピロリ菌感染を正しく判定できないことがあります。

尿中抗ピロリ菌抗体測定
(尿検査)

採取した尿の中の、ピロリ菌に対する抗体の有無を調べ、判定します。
血中抗ピロリ菌抗体測定と同様の理由で、その時点でのピロリ菌感染を正しく判定できないことがあります。

便中ピロリ菌抗原測定
(便検査)

採取した便の中の、ピロリ菌抗原を測定し、判定します。
精度の高い検査ですが、患者様には便を採取する手間が求められ、結果が出るまで数日を要します。

ピロリ菌検査をした方が
いい人は?

ピロリ菌検査をした方がいい人は?

  • 50歳以上の方
  • 胃もたれ、みぞおちの痛み、食欲不振などの症状が続いている方
  • 慢性胃炎の診断を受けている方
  • 胃・十二指腸潰瘍を繰り返す方
  • 幼年期に大人からの食べ物の口移しなどを受けていた方

1つでも該当するという方は、一度ピロリ菌検査を受けることをおすすめします。

ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌の治療では、飲み薬による除菌を行います。
一次除菌で約90%が除菌に成功し、失敗した場合には二次除菌へと進みます。そして二次除菌までを含めると、全体の約98%で除菌が完了します。
三次除菌からは自費診療となりますが、そこまでに至ることはほぼないと言えます。

一次除菌

1種類の「胃酸の分泌を抑制する薬」、2種類の「抗菌薬」を1日に2回、7日間連続で飲みます。
2カ月後にピロリ菌検査を行い、成否を判定します。

二次除菌

抗菌薬のうちの1つを違う種類の抗菌薬へと変更した上で、一次除菌と同じように飲み、2カ月後にピロリ菌検査を行い、成否を判定します。

除菌に成功した後も
定期的な検査を

除菌に成功した後も定期的な検査をピロリ菌の除菌が成功すると、さまざまな疾患リスクが下がります。ただ、それらの疾患はピロリ菌感染だけを原因として発症するわけではありません。
除菌に成功してからも、定期的に胃カメラ検査を受けることをおすすめします。
なお、ピロリ菌は、通常免疫の成熟した大人には感染しません。つまり、大人になってピロリ菌検査を受け、陽性が出て除菌治療を行った場合、その後再感染する可能性はほぼありません。しかし約1%の割合で再感染が認められるため、ピロリ菌検査や除菌治療が再度必要になるケースも存在します。

ピロリ菌の検査・除菌治療費用

胃カメラ検査を受けて慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診断を受けた場合、あるいは早期胃がんの治療後の場合は、ピロリ菌検査と除菌治療に保険が適用されます。

保険診療の場合

1割負担 3割負担
ピロリ菌検査
+除菌治療
約1,500~
2,000円
5,000~
6,000円

※目安の金額となります。検査方法や使用する薬剤などにより、費用が変わることがあります。

自費診療の場合(税込)

胃カメラ検査なしでピロリ菌検査や除菌治療をご希望される場合、あるいは症状はまったくないけれど検査・治療を受けたいという場合には、自費診療となります。

ピロリ菌検査 胃カメラを使用する検査 迅速ウレアーゼ試験(内視鏡) 準備中
鏡検法(内視鏡) 準備中
培養法(内視鏡) 準備中
胃カメラを使用しない検査 尿素呼気試験(呼気検査) 準備中
血中抗ピロリ菌抗体測定(採血) 準備中
尿中抗ピロリ菌抗体測定(尿検査) 準備中
便中ピロリ菌抗原測定(便検査) 準備中
除菌治療 準備中
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