胃ポリープについて医師が詳しく解説
胃粘膜に発生する、いぼのような隆起を「胃ポリープ」と呼びます。胃ポリープそのものは病気ではありませんが、中には悪性のポリープ（胃がんの前段階）も存在します。
基本的に症状はないため、定期的に胃カメラ検査を受け、診断を受けることが大切です。
胃ポリープは大きく、良性のポリープと悪性のポリープ（胃腺腫）に分けられます。また良性のポリープは、さらに胃底腺ポリープと過形成ポリープに分類されます。
胃カメラ検査の際、組織を採取して病理検査にかけることで、正確に診断がつきます。
| 良性のポリープ | 胃底腺ポリープ | ・ピロリ菌のいない胃で発生しやすい ・胃粘膜と同じ色をしている ・がん化の可能性はほぼないが、経過観察は必要 |
|---|---|---|
| 過形成ポリープ | ・ピロリ菌のいる胃で発生しやすい ・ピロリ菌の除菌治療により、ポリープの消失が期待できる ・赤みがかっており、出血を伴うものも ・がん化の可能性があり経過観察が必要 ・がん化していなくても、出血がある場合などには切除を検討 |
|
| 悪性のポリープ | 胃腺腫 | ・胃がんの前段階 ・ピロリ菌のいる胃に発生しやすい ・胃がんの診断を受けた場合には、進行の程度に応じた治療を行う |
胃ポリープの原因は？
胃ポリープは、その種類によって原因が異なります。
胃底腺ポリープ
ピロリ菌に感染していない、比較的キレイな胃に発生します。プロトンポンプ阻害薬の服用によって大きくなったり、数が増えたりすることがあります。
過形成ポリープ
ピロリ菌に感染している、比較的荒れた胃に発生します。胃粘膜の修復と再生を繰り返しているうちに、一部の細胞が増殖しポリープを形成するものと考えられます。ピロリ菌の除菌治療によって、小さくなったり、消失したりといったことが期待できます。
胃腺腫
喫煙習慣、塩分の摂り過ぎ、ピロリ菌感染、遺伝子異常などが発症に影響していると言われています。
胃ポリープの症状チェック
胃ポリープができただけでは、基本的に無症状です。しかし、慢性胃炎を合併していたり、ポリープから出血したりしている場合には、以下のような症状が見られることがあります。
- 胃もたれ、胃の不快感
- 胃やみぞおちの痛み
- 膨満感
- 食欲不振
- 貧血
- タール便
- 便潜血検査陽性
胃ポリープの検査と診断
胃ポリープそのものの症状は皆無であるため、問診の上で、胃カメラ検査を行います。
バリウム検査が行われることもありますが、小さなポリープ、影になる部位に発生したポリープを見つけられないことがあるため、正確な診断のためには胃カメラ検査が欠かせません。胃カメラ検査では、必要に応じて組織を採取し、病理検査にかけます。
胃ポリープの治療・治し方
大きさが1センチ以下の場合には、胃底腺ポリープ、過形成ポリープ、胃腺腫のいずれであっても、経過観察に留めることが多くなります。
ただし、過形成ポリープ、胃腺腫で2センチ以上になっている場合、出血をきたしている場合などには、内視鏡的切除が行われます。また、がん化し、進行している場合には、開腹を伴う外科手術が必要になることもあります。これらの手術が必要になった場合には、速やかに提携する病院へとご紹介いたします。
